解決事例(相続)

解決事例(相続)3:遺言作成

解決事例(相続)

■依頼主 70代 女性

■相談内容
遺言書を書きたい。
預金が1千万円ほどあるが,自分が亡くなった時には,これまでお世話になった友人にそのお金を渡したい。もし友人が自分より早く亡くなったら,全額,江戸川区に寄付したい。

■結果
依頼者の意向に添って,遺産は友人に全額遺贈することとし,もし友人が依頼者より先に亡くなった場合,江戸川区に遺贈する内容で公正証書遺言を作成した。

■コメント
自身が亡くなった後,自身の財産についてどうするか,最後は自身で決めたいと思うのではないでしょうか。また,例えば,相続人同士が疎遠になっているとか,あるいは多額の遺産があるとなると特に遺産の分割方法については揉めやすいですから,是非とも遺言を作成しておくことをお勧めします。
遺言の方法としては,自筆証書遺言といって,自身で遺言を作成する方法もありますが,その方式や遺言能力等を理由に後で遺言が無効だと争われる可能性も十分ありますので,できれば公正証書遺言を作成しておきたいところです。公正証書遺言は,公証役場というところで公証人が入って方式や遺言能力等をチェックしますので,後で無効と判断されることはまずありません。
本件で,依頼者は,その友人にいろいろお世話になっていたようです。他に遺産を渡したい人はいないし,もしその友人が自分より先に亡くなったら,全額,区に寄付したいとのことでした。依頼者には,夫がいたのですが,夫には渡したくないとのことです。他には推定相続人はいません。
このような場合,問題となるのは遺留分です。遺留分というのは,兄弟姉妹を除く法定相続人に最低限残さなければならないとされる相続分のことです。例えば,夫が死亡直前に親密になった女性に遺産全部を贈与する内容の遺言があった場合に,それがすべて通るなら,残された妻子の生活に支障が出る場合もあります。そこで,遺産全体の1/2は遺留分として妻子からその女性に請求できることになっています。
本件でも,全額友人に遺贈するということですから,夫から遺留分を請求される可能性はあります。とはいえ,遺留分の請求は請求者の自由ですから,請求しない場合もありますので,遺留分を侵害している遺言でも直ちに無効になるものではありません。