解決事例(相続)

解決事例(相続)4:特別縁故者による財産分与請求

解決事例(相続)

■依頼主 80代 女性

■相談内容
自身が長年お世話をしていた方が亡くなった。その方には相続人はいない。
その方の生前から,自分に遺産を渡したいようなメモはあったのだが,正式な遺言はない。その遺産の一部でももらえないだろうか。

■結果
相続人がいないので,まずは相続財産管理人選任の申立てをして,相続財産管理人が選任された。
その後,特別縁故者を理由に裁判所に相続財産分与の申立てをしたところ,遺産のほぼ全額を取得できることになった。

■コメント
被相続人が亡くなって,誰も相続人がいない場合,その被相続人の遺産はそのままだと誰のものでもなくなります。遺産が少ない場合は,事実上何もされないというケースも多いと思います。ただ,例えば,遺産が多く,被相続人の遺産をめぐる関係者(被相続人の債権者,特別縁故者等)がいるとなると,そのままでは遺産を処分することができませんので,相続財産管理人を選任して,その相続財産管理人に遺産の管理・処分を委ねることになります。
本件でも,特別縁故者として財産分与請求をしたいということですから,まずはこの相続財産管理人の選任の申立てをしました。
その後,例えば,被相続人の債権者がいれば,その債権者に債権額をその遺産から支払うことになります。例えば,遺言があって特定の方に遺産を遺贈する内容があれば,その方(受遺者)に遺産を渡すことになります。それでもまだ遺産が残る場合があります。その場合何もしないとそのまま国の財産になります。ただ,相続人でなくても被相続人と生計を同じくしたり被相続人の療養看護に務めていたような場合,その方に一定の遺産を取得させるのが公平だと考えられますので,その場合,裁判所に対して特別縁故者として相続財産分与請求ができるとされています。
ただ,実際に分与が認められるか,またどの程度の財産が分与されるかは,各具体的な事情によって裁判所が決めていきます。本件でも,長年被相続人のお世話をしていたこと,遺言に近いメモの存在等が考慮され,相続財産管理人の報酬等は控除されましたが,ほぼ全額の遺産を取得することができました。全額というのはあまりないかと思いますが,それだけ被相続人に貢献してきたと評価されたのだと思います。