解決事例(相続)

解決事例(相続)2:限定承認

解決事例(相続)

■依頼主 40代 会社員

■相談内容
父が先日亡くなった。相続人は一人。遺産としては預貯金が数百万円あるようだが,以前,父が借金をしていたようなことを聴いたので,そのまま相続するのは怖い。相続放棄も考えたが,預貯金も相続できなくなるし,もし債務がなかった場合はもったいない。
そこで限定承認をしたい。

■結果
相続財産を調査のうえ,必要書類を整え,限定承認の申立てをした。確認された相続財産(+財産)についてはそのまま管理をした。債権申出の公告を経たが,特に債権者は現れなかった。

■コメント
被相続人が亡くなった場合,遺産として+財産が多いのか,-財産が多いのか分からない場合,限定承認を検討します。限定承認は,相続人全員でしなければならないとされていますので,相続人の一人でも限定承認に反対すると限定承認はできません。本件では相続人が一人ですから,その相続人が限定承認をしたいと思えばできます。
限定承認をしたいと思うのであれば,まずは負債を含めた相続財産の調査です。要は今後それを管理・換価する対象財産として認識するとともに,裁判所への限定承認申立書に添付する財産目録を作成するためでもあります。
裁判所への申立てを済ませれば,次に官報公告です。すでに認識している債権者へは個別の通知が必要になりますが,認識していない債権者もいるかもしれませんので,官報という手段を通じて,債権者から限定承認者へ請求するように債権者に催促するのです。
その請求の申出ができる期間は2ヶ月ですから,その期間は少なくとも+財産の管理はし続けなければなりません。万一債権者が現れれば,その債権者に支払いをしたり,財産の種類によっては(例えば,不動産であれば),換価する(お金に変える)必要がある場合もあるかもしれません。
では,2ヶ月経てば,債権者からの請求があっても支払う必要がないのでしょうか。
この点,この2ヶ月というのは,この期間内に請求をしなかった債権者より,期間内に請求をした債権者が優先されるというにすぎません。例えば,この期間内に誰も債権者が請求をせず,そのまま+財産が残っている場合でも,期間経過後にいきなり債権者が請求をしてくるとその+財産から支払う必要があると考えます。ですから,時効になるまではそのまま遺産を保管されていた方が無難だと思います。