解決事例(不動産問題)

解決事例(不動産問題)7:筆界特定制度

解決事例(不動産問題)

■依頼主:不動産業者

■相談内容 
隣地との境界について、隣地所有者と話し合いができない。
境界が確定しないと、当該土地を販売できない。
弁護士から話をしてもらえないか、場合によっては法的手続きも検討したい。

■結果 
相手(隣地所有者)との交渉を試みたが、相手は公的判断がでれば従いますとのことで、任意でのサインを拒否した。
任意で合意はできないと判断し、筆界特定制度を利用することにした。
筆界特定の結果、相手は境界立会いにも応じてくれ、その特定されたポイントをもとに杭(ポイント)を入れることにも合意し、無事、境界確認書も完成した。

■コメント
隣地との境界で揉めるケースは多いかと思います。
不動産業者さんの交渉力をもってして、あるいは、家屋調査士さんが入ることで境界が確認できる場合もあるのかもしれませんが、揉めるようであれば、弁護士が入って交渉を試みたり、場合によっては法的手続を検討しなければならない場合があります。
法的手続というと、約10年前までは「境界確定訴訟」という裁判手続きで境界を決めていたのですが、裁判となると費用も時間もそれなりにかかり、当事者にとっても負担となります。そこで「筆界特定制度」という制度ができました。
この筆界特定の申請については裁判所ではなく、法務局になります。法務局の登記官が、現地調査の結果や各資料の精査、関係人の意見を踏まえ、筆界(境界)を特定するのです。
ただ、裁判より時間はかからないといっても、9か月程度以上はかかるようです。
なお、筆界特定はあくまで登記官が決めるものですから、その結果について不服があるなら、別途境界確定訴訟(裁判)はできます。そうはいっても、筆界特定で現れた資料を裁判の資料として提出するわけですから、普通は筆界特定の結果は覆らないと思いますので、登記官による筆界特定は、事実上紛争を解決する機能があると言えましょう。