解決事例(債権回収)

解決事例(債権回収)3:民事保全(訴訟の前に,債務者に財産を処分されないために仮差押え)

解決事例(債権回収)

■依頼主 40代 女性

■相談内容
会社在籍時に,会社に金銭を貸し付けていたが,それを返済してくれない。返済してくれないなら,訴訟も辞さない。
ただ,実際に相手会社に財産があるかわからないし,仮に訴訟をして勝っても相手から回収できるかわからない。

■結果
当初内容証明や電話でのやり取りはしていたものの,具体的な返済計画を示さず,むしろ当面の支払いを拒否している姿勢だったため,訴訟を検討することにした。
ただ,訴訟は長期になるし,仮に訴訟で勝っても裁判が終わる頃には,相手は財産を隠すかもしれないため,訴訟の前に相手の取引金融機関の預金債権の仮差押えを申立て,裁判所によって,仮差押えが認められた。
最終的には訴訟で勝訴し,その仮差押えした預金から回収を図ることができた。

■コメント
いくら訴訟で勝っても相手に財産がないと,強制執行は不奏功に終わり,最終的に債権の回収はできません。訴訟は一般的に長くなりますから,訴訟が終わる頃には相手が財産を隠すあるいは処分する可能性があります。
それを防ぐために,民事保全という制度があります。訴訟の前に相手の財産をいわば凍結するのです。そして最終的に訴訟で勝てば,その凍結した財産から回収が図れるということになります。
民事保全の中でも,相手に対する金銭請求を保全するために利用されるのが仮差押えの申立てです。(ちなみに金銭請求以外の請求権の保全のために利用するのは仮処分の申立てになります。)
ただ,まだ訴訟で勝ったわけでもないのに,相手の財産の利用を制限するわけですから,被保全債権(訴訟で請求したい請求権)や保全の必要性を立証する必要があります。また,仮差押えが認められるために担保の提供も必要になり,この担保金が用意できないために仮差押え申立てを断念しなければならない場合もあります。