解決事例(刑事・少年事件)

解決事例(少年事件)9:窃盗(観護措置を回避するために)

解決事例(刑事・少年事件)

■依頼主 16歳男性

■相談内容
都内量販店において,万引きをして逮捕されてしまった。本当に魔が差しただけなので,何とか許してもらうことはできないか。

■結果
警察,検察での捜査期間中に,事情を詳細に確認し,親御さんに協力を要請したうえで安定した帰住先を確保したうえで,裁判所に対して意見書を提出し,観護措置を回避し,釈放された。

■コメント
少年(20歳未満の子)の場合,捜査期間中は,成人の刑事事件と同様に,逮捕勾留の手続を経ますが,その後,大きく手続が異なります。
逮捕勾留期間を終えると,まず,ごく一部の例外を除き,全件が家庭裁判所に送致され,そこで,裁判官によって少年鑑別所における観護措置が必要か否かの判断がされます。通常,逮捕勾留を経たうえで家庭裁判所に送致された場合,かなりの高確率で観護措置決定が出されます。この観護措置は3週間~4週間の期間を要しますので,特に就学児には大きな影響を与えます。そのため,まずは,この観護措置を回避することが第一目標となります。
本件では,逮捕勾留手続を経ていたものの,少年に非行歴がなく,事案自体も比較的軽微であったことから,少年が捜査を受けている間,観護措置回避に向けて準備しました。
具体的には,少年自身の内省を促すために足繁く接見に通い,少年と十分な時間話をする,親権者である親御さんへの協力要請,特に少年が社会に戻った際に,しっかりと監督を受けられ,健全な生活ができる帰住先の確保をする,被害店舗との示談交渉をするなどです。
なお本件では,被害店舗が示談に一律に応じないとの方針をとっている店舗であったため,弁護士会に対して,贖罪寄付をしました。
そして,上記準備を整えたうえで,少年が家庭裁判所に送致される日に,弁護人自ら裁判所に赴き,意見書を提出したところ,何とか観護措置を回避することができました。
少年事件の場合は,やはり,親御さんの協力が必要不可欠となります。今回の件では,親御さんがかなり精力的に協力してくれたため,観護措置回避の結果を得ることができたのだと思います。